国立研究開発法人 情報通信研究機構

ロケーション
横須賀 ⇄ 横須賀
導入日
2023年 02月 01日
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ローカル5Gの実用化に向けて|働く人の心理に影響する「低遅延」を検証

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、情報通信分野を専門とする国内唯一の公的研究機関として、コクヨイノベーションセンター(コクヨ)と共同で「ローカル5G」の実験施設(横須賀リサーチパーク内)を開設。tonariを実験室内に設置し、さまざまな検証を行います。

実証実験について

  • ローカル5Gの環境でもtonariの通信および性能の安定性が変わらないかを検証
  • NICTおよびコクヨをはじめとする多様な企業によるtonariを活用した実験が可能
  • 5Gによる低遅延が与える心理的影響やユーザー体験を検証

ローカル5Gの実用化に向けて

左右対称の実験部屋はガラスで区切られており、ローカル5G環境での遅延実験や低遅延による心理的影響などを検証します。5Gは4Gと比較すると通信速度は20倍、遅延が10分の1、同時接続台数は10倍に増加すると考えられています。

4Gと5Gの決定的な違いは、“人間だけではなく、機械が使いこなしていく”という点。車の遠隔制御に使う場合、急ブレーキの指示の通信に100ミリ秒かかるとぶつかってしまう。でも5Gでは数ミリ秒以下に短縮可能となり、これなら遠隔制御にも使えるね、となる。ローカル5Gが、通信事業者が基地局を作らないエリアでも、企業や自治体が個別で設置できるので、工場などの産業利用に期待されています NICT ワイヤレスシステム研究室 主任研究員 村上さん

超高速・低遅延の通信性能とユーザー体験を実験

実験施設の中で「最も低遅延な通信製品」としてtonariが導入されています。tonari越しでの視覚・聴覚と、ガラス越しでの目視による認識の比較ができます。

無線通信は、有線通信と異なり線を這わせないで済むのが最大のメリット。ローカル5Gにより、これまで線を引きづらかった場所でも通信が使えるようになる。現在は固定した場所での実用化ですが、将来的にポータブル利用が可能になると、tonariなら車に搭載して、移動しながらの仕事もできるかもしれないですね。実際ローカル5Gの便利さを体感できるのは、産業や学校などの団体といった、社会の基礎の部分からなのかなと思います NICT ワイヤレスシステム研究室 主任研究員 村上さん

働く人の心理に影響するコミュニケーション速度

コクヨイノベーションセンターでは、働き方とワークスペースの関係性を追求しオフィスデザインに活用しています。tonariは、遅延のないコミュニケーションによる心理的な快適さと、オフィス空間に自然に馴染むデザイン性を両立させることで、遠距離でも隣にいるかのような、直感的でシームレスな空間接続を実現しています。

パンデミック以来、Web会議では通信の遅延により会話に多少の遅れが出ると不安感やストレスを覚えるようになりましたね。ローカル5Gの実証実験を行うNICTさんの施設の設計・施工のお手伝いをするするなかで、自分の目でその遅延の差を見たいと思いました。低遅延により不安が払拭される、といった目に見えない要素が、働く人の心理にも影響を与える。一方でtonariはデザイン性があり、単なるツールではない体感型。今、社員に”バックトゥオフィス”と言いにくい企業も多い中、働き方の柔軟性とともに出社が快適になるオフィスづくりも求められている。コミュニケーションもオフィスも、全部ひっくるめて新しいフェーズになるのではないかと思っています コクヨ イノベーションセンター 嶋倉さん

Beyond5Gと衛星通信の未来

次世代5GはB5G(Beyond 5G)と呼ばれていて、たとえば人と動物がコミュニケーションできるようになるとか、しゃべらなくても意思疎通ができるようになるとか…一体何Gで実現するのかも不明な、ごった煮の議論中。なので、今は”その先の5G”という表現なんですね。 ウクライナ情勢で有名になった衛星経由でのインターネット利用がすでに実用化されていて、携帯電話向けでも、B5Gにて衛星などを介した非地上通信(NTN = Non-Terrestrial Networks)の仕組みも整備されつつあります。衛星通信の遅延理由は、基本的に『物理的距離による伝搬遅延』と『映像・音声を圧縮し元に戻す処理遅延』の2つ。将来、宇宙ステーションあるいは他の惑星と地球間で会話する時代がくると、距離による遅延は変わらないので、処理遅延の小さいtonariのようなシステムが重要になるでしょう

国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)について

NICTは情報通信分野を専門とする日本で唯一の公的研究機関として、情報通信に関する技術の研究開発を基礎から応用まで統合的な視点で推進し、同時に、大学、産業界、自治体、国内外の研究機関などと連携し、研究開発成果を広く社会へ還元し、イノベーションを創出することを目指しています。

コクヨ株式会社について

コクヨ株式会社は、文具や事務用品を製造・販売する「ステーショナリー事業」、オフィス家具などの提供からオフィス空間の設計・構築、働き方改革コンサルティングまでを手掛ける「ファニチャー事業」、オフィス用品の通販サイト「カウネット」の運営とインテリア・生活雑貨の販売を行う「通販・小売事業」を軸にビジネスを展開しています。

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